必見!目薬の正しいさし方と中高年の目の病気

あなたの疑問に答えます!
中高年の目の病気(必見!目薬の正しいさし方)
NHK総合テレビ「ここが聞きたい!名医にQ」2012年3月17日(土)放送より要点を抜粋して紹介します
http://www.nhk.or.jp/kenko/drq/   
※ 関連記事
http://www.nhk.or.jp/kenko/drq/archives/2011/04/0423s.html

1 白内障手術 多焦点レンズとは?
2 正常眼圧の緑内障とは?
3 加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の薬物療法はいつまで行う?
4 カラハシ未来研究所 「角膜の再生医療」
5 マルチオピニオン「目の病気が複数あるとき」


中高年の目の病気で代表的な3つとその症状を示します。
白内障―白くかすむ
緑内障―視野が欠ける
加齢黄斑変性―物がゆがんで見える

 
白内障の症状

白内障の症状にはいろいろあり、目の水晶体(レンズ)が全体的に濁っている場合、物が霞(かす)んだり、霧がかって見えますが、濁りが例えば周辺部だけの場合、薄暗くなると物が視にくくなったり、中心部だけが濁っていると逆に明るいと物が視にくい、ということになります。
番組ではタレントの間寛平さんが物が二重に視えるという症状を訴えており、これも白内障の恐れがあるとのことで専門医の診療を奨められていました。  

 

緑内障
緑内障にも様々なタイプがありますが、慢性の緑内障になると暗転と呼ばれる見えない部分が出来、後期になると真ん中しか見えない、筒を覗いたような視野になります。(図参照)更にこれが進むと真ん中の視野も失われて失明に至ります。
最近の調査では緑内障は日本における失明の一番の原因になっています。
緑内障で大切な事は、緑内障により一旦失われた視力や視野は元に戻す事は出来ない事です。出来れば視野が失われる前に出来るだけ早く見つけて治療をし、自分で目を守る事が大切です。

 


加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)
加齢黄斑変性は中心部が見え難くなります。どのように見えにくいかと言うと、先ず、歪(ゆが)みを感じます。これは網膜の下或いは網膜の中に水がたまったりして網膜がゆがんでいるので物が歪んで見える事になります。水がたまるとそこの部分の感度が悪くなるので薄暗いとか、出血などがあると黒く見えるというようになります。
 

眼科医が持っている写真のアムスラーチャートを片目ずつで視て、中心が歪んでいるとか、見えにくい処がないか、をチェックします。
高齢者や近視の方は緑内障になり易いというデーターがでています。70歳以上では10%を超える割合で緑内障になりやすいという結果が出ています。
煙草を吸う方は加齢黄斑変性になりやすいという結果が出ています。


白内障の手術

手術で入れるレンズは直径6ミリという小さいものです。
(写真参照)

実際の手術は、黒目の端を2,3ミリ切開して、ストローの役割をする細い筒を右から入れます。器具の先端を1秒間に何万回と振動させて水晶体の中の濁りの原因となっている硬い組織を砕き、ストローで吸って内部をきれいにします。
砕いた組織を取った後、人工の眼内レンズを入れます。
入れ方は、ストローの役割をした細い筒から折りたたんで入れ、水晶体の中で拡げ、固定します。



白内障手術 単焦点と多焦点レンズとは?
白内障手術で用いる眼内レンズには、大きく分けて単焦点レンズと多焦点レンズがあります。一般的に用いられている単焦点レンズでは、焦点が合う距離が1つしかないので、決めた焦点以外の距離を見るときは眼鏡が必要です。例えば、遠くが見えることを選択した場合は、近くを見る時は老眼鏡が必要です。どのような人工のレンズを入れるのか(本などを読む近い距離の為の眼内レンズか、或いは、遠くを見る為か)、自分の今後のライフスタイルを考えて、手術の前に医師と良く相談して決める必要があります。
一方、多焦点レンズは焦点が合う距離が複数あるため、めがね無しで遠くも近くも見ることができます。どうしても眼鏡を使わずに生活がしたいという人には便利なレンズです。ただし、乱視が強い人などには向いていないレンズで、多少コントラストが落ちる、光の周りに輪ができて夜間の運転がしにくいことがあるなどの特徴もあります。
また、健康保険が使えない為に高価であり(片眼で30−50万円程度、両方でその倍)、それほど普及はしていません。



正常眼圧の緑内障とは?

緑内障と大きく関係しているのが「眼圧」です。眼圧は眼球を内側から外側に押して
いる圧力で、緑内障は眼圧が上がることで視神経が障害されて起こります。正常な眼圧の目安は10〜21mmHgですが、正常とされる領域の眼圧でも約4%で緑内障となっている人があることが、最近行われた疫学調査で判明しています。そこで現在では、人によって耐えられる眼圧が異なり、その方にとって耐えられない眼圧になると緑内障を発症すると考えられています。

緑内障の治療は目薬で眼圧を下げて緑内障の進行を防ぐことが大切です。


目薬を正しくさす事が大切

そこで大切なのが目薬を正しくさすことです。最近のデーターで目薬を正しくささない、或いは忘れがちだった人の失明のリスクは22%で正しく目薬をさした人の8%を遥かに上回っています。


間違った目薬のさしかた
  1. 2滴以上さす。
    ⇒緑内障の目薬は1滴で十分なように調合されており、これ以上さして目の外に溢れさせて場合、溢れた液が例えば下まぶたにつき、液による皮膚への副作用発症の恐れがあります。
  2. さした後、目をパチパチさせる。
    ⇒薬をよくなじませたり、いきわたらせようというような考えで目をパチパチさせる人が多いが之は間違いです。実は目は涙で表面を覆(おお)っているが余分な涙が目から鼻に通り抜けるようになっています。そこで目をパチパチさせることによって折角さした目薬でも直ぐに目をぱちぱちさせると、ポンプの力でより効率的に目から鼻に流れてしまいます。逆に目薬の液を鼻から飲んだりして副作用が出たり、折角の目薬が無駄になってしまいます。
  3. 目薬の容器がまつげ等に触れる。
    ⇒余計なところに容器の口が触れるのは衛生上避けなければいけません。まつ毛の先なども“めやに”や黴菌の可能性があり決して衛生的ではありません。
  4.  
目薬の正しいさし方
利き手で容器を持ち、反対の手で下まぶたを軽く引く。
この時、容器を持った手を反対の手につけると安定しやすい。

 
目薬を1滴だけさす。
2滴、3滴とささないようにする。

 
1滴入ったら目をパチパチせず、直ぐ目を閉じて目頭を5分間軽く押さえる。涙の通り道を通って目薬が喉(のど)に抜けないように通り道の入り口を押さえ、目薬が長く目に留まるようにします。
 
 
 加齢黄斑(かれいおうはん)変性は2年前から薬で治療できるようになりましたので早い段階で治療をすることを推奨します。



加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)とは?

左図が健康な網膜です。
 
 
之に対して加齢黄斑変性になると脈絡膜から網膜の下に向かって本来は無い血管がはえています。この新生血管は非常に弱くて、切れやすく、水が漏れたり出血したりして、網膜の大切な視細胞を壊したりします。その結果、視力が低下したり、最悪の場合は失明に至ります。


加齢黄斑変性の治療には
  1. 光線力学療法
  2. 薬物療法
の2種があります。

光線力学療法は2004年頃から日本に導入されたもので弱いレーザーを目に当てるのですが副作用で視力が低下する事もある為、視力がある程度低下してから行うのが一般的です。

 
薬物療法は2年前(2009年)頃から行われており、視力の低下を待たずに治療できるようになり、早期発見すれば高い視力が維持できるようになりました。
現在は2つの療法を併用して行う場合もあります。


 
加齢黄斑(かれいおうはん)変性の薬物療法はいつまで行う?
実際の「薬物療法」は、患者にベッドに寝て貰い、新生血管を活発化させる物質を抑(おさ)える作用のある薬剤を黒目の横の硝子体に麻酔をして注射します。この薬剤の働きにより余分な新生血管を縮小させ、網膜のゆがみが無くなり視力が正常になります。
この治療は「滲出(しんしゅつ)型」と呼ばれるタイプの加齢黄斑変性に有効で、病気を発見した段階で、副作用を気にせずに、すぐに治療を開始できるようになったので、以前に比べて高い視力が維持できるようになりました。
この薬物療法を初めて行う場合は、ひと月に1度の注射を計3回行います。外来ですみますので入院の必要はありません。その後は定期的な検査を行いながら必要に応じて治療を行います。また、複数回治療を行っても効果が薄い場合には、薬物療法が効きにくいタイプの加齢黄斑変性である可能性もあります。その場合、弱いレーザーを使う「光線力学療法」と併用することで治療効果が上がることが期待できますので、眼科医に相談してみて下さい。



カラハシ未来研究所 「角膜の再生医療」

医療の最新情報をお伝えする「カラハシ未来研究所」。今回ご紹介するのは「角膜の再生医療」です。角膜は「上皮」「実質」「内皮」の3層に分かれていて、現在実現しているのは、角膜上皮の再生です。ドナーや患者さん自身の角膜上皮などから「幹細胞」と呼ばれる、角膜上皮のもとになる細胞を取り出し、その細胞を培養すると、20日ほどで角膜上皮が再生できます。
上皮以外の「実質」や「内皮」では、まだ再生が実現していません。「内皮」はもともと細胞分裂しにくい組織で、また「実質」は構造が複雑なため再生が難しく、現在は研究が進められている段階です。もしも、この角膜3層全てを再生させる技術が進歩すればより多くの患者さんに角膜を提供できると期待されています。



マルチオピニオン「目の病気が複数あるとき」

76歳の女性、ヨシエさん。55歳の時に正常眼圧緑内障、68歳の時に白内障と診断され、最近、物がゆがんで見えるようになったため、眼科を受診したところ、加齢黄斑変性と診断されました。ヨシエさんの緑内障は「後期」とよばれる段階で、視野に欠けているところがあります。眼圧を下げる目薬を使っていますが、最近眼圧が上がりぎみで、眼圧は18mmHgです。一方、白内障ですが、現在、水晶体の濁りの程度は中程度で、自分でも白くかすんで見えるのが大変気になっています。そして今回見つかった加齢黄斑変性は、新生血管による滲出型です。視力は0.5という内容を想定しました。
■常岡さんのアドバイス「白内障手術を最初に!」
白くかすんだ見え方にご本人が不満をもっておられるので、白内障の手術をすることで視力を回復することができます。また、濁った水晶体を取り除きクリアにすることで、緑内障や加齢黄斑変性の検査で重要な目の奥が見やすくなります。(水晶体が濁っていると目の奥が良く診察できない)
■富田さんのアドバイス「緑内障の手術 白内障と同時手術も」
緑内障が進行して視野に欠損がある場合で眼圧が上がりぎみであれば、白内障手術や加齢黄斑変性の治療をしている間に、さらに進行することも考えられます。緑内障の手術と同時に白内障の手術をすれば手術する場所は同じですので、一度でする事により負担も軽くなります。
■寺崎さんのアドバイス「加齢黄斑変性の治療を優先」
加齢黄斑変性の滲出型の場合、数週間から1か月で急激に視力が下がってくることがあります。現在の薬物療法は外来で行える手軽なものなので、加齢黄斑変性の治療を優先することで視力維持をめざすことができます。ただし、薬物療法で硝子体に注射を行うと眼圧が上がることがあるので、緑内障の患者さんは眼圧の管理を緑内障の医師としっかり行うことが大切です。

(まとめ)
複数の目の病気がある場合は、慎重に経過を見ていくことが重要です。それぞれの病気の現在の状態と進行の速さによって治療の優先順位は変わってきますので、総合的に判断してもらえるよう専門医にしっかり経過を見てもらうことが大切です。
                                            以上