治るタイプの認知症、大発見!

治るタイプの認知症、大発見!
笑顔が戻った! 認知症 治るタイプ大発見SP
2012年02月22日放送 NHKためしてガッテンより
「治るタイプ」の認知症とは?
軽く頭をぶつけただけで!?
今回のお役立ち情報
 
一度発症すると治療が難しい認知症。
「もう年だから…」と諦めてしまっている人も多いのではないでしょうか。ところが、認知症を起こす病気にはいくつもの種類があり、その中には劇的に症状が改善する可能性があるものも!
しかも、ある処置をすると、早い人では、わずか1時間で効果が出るケースもあるんです。
認知症の患者は全国で208万人と推定され、うち30万人以上と推測される直る可能性のある患者さんのほとんどがきちんと治療を受けていないのが現状。
今回のガッテンは、その病気の見分け方から治療までしっかりご紹介します!

 
「背中」で認知症が劇的改善!?
半年ほど前から物忘れと歩行障害が出てきたAさん(74歳)。
症状は徐々に進み、明日の予定も記憶できず、歩行も小刻みな歩幅でやっと歩く程度になってしまいました。
Aさんは一人暮らし。近くに住む娘さんは心配でたまりません。
そこで脳神経外科で診察を受け、詳しく検査をするために入院することになりました。
いよいよ検査開始、という時に医師が取り出したのは注射針。これをおもむろに背中に。脳の病気かと思ったら検査は背中…。しかも、この検査がこの後、驚きの回復を呼ぶことになります!
2日後、再び病院を訪れると、そこには見違えるようなAさんの姿が!足はすいすい動いて歩く速度は2倍、お見舞いに来た娘さんといきいきとした表情で笑みを浮かべながら話しています。
あの背中に針を刺す検査でこんなに改善しちゃったんです!
いったいどういうことなんでしょうか?

 
認知症の犯人は…「水」!?
いったい背中に何の秘密があるというのか?
番組スタッフは、この分野の画像診断に詳しい医師のもとを訪れました。
すると認知症状のカギとなるものがMRIで見えることが判明!早速スタッフの体を隅々までMRIで撮影してみました。その結果、なんとあるタイプの認知症の犯人が映っていたのです!
しかも背中だけでなく腰にも、頭にも!
その正体は、脳脊髄液。

実は背中に針を刺した検査は、この脳脊髄液を抜いていたんです。

私たちの脳と脊髄の周りは、この脳脊髄液で満たされ、まるで豆腐のようにプカプカ浮くことで周りからの衝撃に耐えられる仕組みになっているんです。
脳の内側にはこの脳脊髄液をためておく部屋「脳室」があります。ところが、何らかの原因で脳脊髄液が増えすぎてしまうと脳室が膨らみ、脳を内側から圧迫、認知症を起こしていたんです。

 

「治るタイプ」の認知症とは?
脳脊髄液の増えすぎが原因で起きるこの病気。
特発性正常圧水頭症(とくはつせいせいじょうあつすいとうしょう)と言います。
主な症状としては、

歩行障害、
認知障害、
尿失禁
の三つ。一般に認知症は治療が困難と言われていますが、この病気の場合は別。余計な脳脊髄液を抜くことで大きく改善する可能性があります。


治療は手術になります。細いチューブを通して脳脊髄液を腹腔に吸収させるのです。チューブは体内を通すので邪魔にはなりませんし、手術は1時間前後で終わることがほとんどです。
この病気の症状の1つとして歩行障害が出るので、脳と関係ない診療科へ行きがちです。さらに「もう年だから」「認知症だから」と諦めて、きちんと診断を受けていない人も多いと考えられます。心当たりのある方は、確認してみてはいかがでしょうか。

なお脳脊髄液を抜くことで治る可能性があるのは特発性正常圧水頭症が原因の認知症だけです。
すべての認知症が治るわけではありませんのでご注意ください。

この病気の見分け方は、今回のお役立ち情報で!
 
 
軽く頭をぶつけただけで!?
もう一つ、認知症とよく似た症状が出る別の病気についてお伝えします。
自宅のトイレの場所がわからないほどの物忘れ、周囲の呼びかけにも反応できないなど、まるで認知症のような症状が出るのに、実は全然違う病気があります。

それは慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)
頭をぶつけるなどして、頭蓋骨の内側に血液と脳脊髄液の大きな塊ができて、脳が変形するほど圧迫されることによって発症します。

赤い血の塊が脳を圧迫している
  
 手術で血液と脳脊髄液の塊を除去すれば治りますが、やっかいなことが二つ。
一つは、ほんの軽くぶつけただけでも発症することがあること。室
内のかもいやタクシーの天井にぶつけた程度でも発症することがあるので、本人もぶつけたことを覚えていないケースもしばしば。

もう一つは、ぶつけた直後には何の異常も見られないこと。
症状も出ませんし、CTなどの画像検査をしても異常はなかなか見つかりません。
血液と脳脊髄液の塊は1か月〜2か月ほどかけて成長するからです。
その後、わずか数日の間に急速に症状が悪化するのが特徴ですので「おかしいな」と思ったら神経内科や脳神経外科へ。症状が出てからでも間に合う病気ですから、心当たりがあれば、あわてず、速やかに受診しましょう。


 
今回のお役立ち情報
特発性正常圧水頭症の症状
  1. 歩行障害
  2. 認知障害
  3. 尿失禁
以上の三つが3大症状で、特に歩行障害はほとんどの人に現れます。

特発性正常圧水頭症の見分け方
ほとんどの人に現れる歩行障害は、非常に特徴的ですので、見分ける手がかりになります。
  1. 足の幅が広い(肩幅くらい)
  2. 小刻みに歩く
  3. がに股
  4. 一歩目が出にくい
  5. 狭い通路や障害物があると歩幅が小刻みになる

特発性正常圧水頭症が疑われたら
神経内科や脳神経外科で受診することをおすすめします(病院によって診療科名が異なる場合があります)。
なお、特発性正常圧水頭症以外の原因で認知症になった場合、脳や背中から脳脊髄液を抜いても効果はありませんのでご注意ください。


慢性硬膜下血腫の症状と診療科

  1. 頭痛
  2. 認知障害
  3. 手足のまひ
  4. 吐き気
どれもこの病気特有の症状ではありませんが、認知障害が出た時点で速やかに病院へ行くことが重要です。
「もう年だから」と放置しないことが大切です。
神経内科や脳神経外科で受診することをおすすめします(病院によって診療科名が異なる場合があります)。